シンスプリントと疲労骨折

シンスプリントと疲労骨折   

≪シンスプリント≫

 シンスプリントはかつては「すねの痛み」とひとくくりにされていた
症状ですが、実はこの痛みは医学専門用語で言う腱炎、疲労骨折、
コンパートメント症候群あるいは骨膜炎などのさまざまな障害によって
引き起こされているものであることがわかっています。
いわゆるシンスプリントと呼ばれるもののほとんどは、脛骨過労性
骨膜炎を指し、下腿内側に位置する脛骨の下方1/3に痛み が発生する
ことを特徴とします。

痛みは脛骨に沿ってうずくような鈍痛で始まります。ある一点に集中
する痛みとは違い、筋肉が骨に付着するラインに沿って起こります。
多くの場合、痛みは運動開始時に現れ、そのあと消えて運動が終了
するとまた戻ってきたりします。

症状が進むにつれ、痛みは段々ひどくなり、運動している最中はずっと
痛みが持続するようになります。 脛骨過労性骨膜炎は特に中・長距離
ランナー等、継続負荷の多いトレーニングメニューの人に多くみられます。
原因は、シーズンの始めや新学期に新入部員がハードなトレーニングを
集中的に行った場合には特に頻発します。硬い地面 の上を繰り返しラン
ニングする、足部を背屈させる(つま先を上げる)筋肉を過剰に使いす
ぎるなどが原因となります。

特にそのスネの痛む場所というのは筋膜という筋肉の薄い膜がスネの骨に
付着する場所なので無理に引っ張られやすく、それに膜の部分は血管が少
ないから酸素も血液という栄養分も行きにくく、伸び縮みする弾力性等が
弱い場所なのでダメージを受け易いと思われます。

縦に力がかかることによる傷害ですから、体重が重ければ重いほど骨に負担
がかかり、痛みが出ると思います。もう少し距離を短くするとか、ドスドス
と体重を載せる走り方だったら変えるとか、シューズをクッション性のよい
ものに変えるとか、スピードを抑えるとか、傷害を押さえる為の工夫の余地
はあると思います。

一般的には男性よりも女性に多くみられるようです。何故でしょうか?
原因は脂肪の付きやすい体質とそれによる体重の増加によるダメージ差や、
扁平足等にあるように思われます。受験の影響やシーズン入りする前に
十分なトレーニングをしていない選手は筋力が弱く、こうした環境も
手伝って、障害の発生に拍車をかけてしまうようです。
偏平足の人は足首への負担を補う筋力が充分で無い場合が考えられます。
走る時やジャンプの時の着地の時に、充分なショック吸収が出来ない為に
起きうる可能性は大きくなります。
つまり普通に立っている時は足の外側に負担がかかる。走り出すと足首は
内側にブレて普通に立っている時にはあまり負担がかからない足の内側に
負担が掛る為です。

   筋力のアンバランスの結果,足が着地する度に連続してその筋肉に過度の
負担が掛ってしまい、部分的に血液がうまく行き渡らなくなってしまって
スネの部分へ充分に行かずにその部分が酸欠状態になって細胞にダメージ
を与えてしまい、痛みを生むというメカニズムです。

 <治療法と予防>
練習量が多すぎることや扁平足(筋肉が張って、足の裏の”土踏まず”
が平らになる症状。)が発症の原因になります。痛みがおさまるまで、
しばらく休養をとる必要があります。扁平足が痛みの原因になっている
場合は、足底板を作ります。

<シンスプリントの対策>
・とりあえず、アイシング。先ずはアイスを使って、スネの痛む部分を
アイス(氷) でなぞる(痛感神経が麻痺するまですると効果あり)。
   ・あまりにも痛いのではあれば安静。その場合、消極的安静ではなく、
積極的安静(受傷部位への負担を軽減させながらも、なおかつ他の部位
は受傷前のコンディションをキープ)を勧めます。完全休養は症状の
一時的な緩和にはなりますが、復帰し、遅れてしまった時間を取り戻そ
うと無理をすると、症状が再発する傾向があるからです。

 ・その他の対策としては、足の裏のストレッチ、足にあった靴をはくなど
です。足底筋幕炎からくるシンスプリントは走った後に足の裏のスト
レッチをしてみてください筋トレは前けい骨筋を鍛える(つま先を同時に
上げ下げする)のがいい。


≪足の疲労骨折≫
シンスプリントが進んだ結果引き起こされる症状です。つまりシンスプリント
疲労骨折の一歩手前なのです。
骨折は1回の大きな衝撃で起きることが多いのですが、疲労骨折というのは、
長時間の練習を毎日のように続けることで、徐々に弱ってきた骨が折れて
しまう病態です。
   初期の段階で痛みが出るので、練習を続けることで、痛みが徐々に増強してい
くようなら、要注意です。このとき、練習量を減らして、骨を休ませれば、
また、骨の強度が回復します。
     
 折れてしまった場合は、ギブス固定や、部位によっては手術で対処します。
ランニング・フォームのバランスが悪くて、1カ所にストレスが集中する
ことも原因の一つとなっていることがあり、このようなときは、足底板を
作成して、ランニング・フォームを矯正して、治療します。
疲労骨折は一般的な骨折と比較して中々判りづらいものです。レントゲン
撮影では骨膜反応により判断されます。
角度によっては軟骨が隆起しているようにも見えます。
MRIなどの精密検査の設備が備わった病院であれば容易にわかる筈です。

骨折と言っても、ポキッと折れるのではなく、骨にひびが入って、さらに
骨折を修復しようとする骨の反応が同時におこっていて、安静にしていたり、
歩いているだけでは大して痛くないものです。 写真があれば判ると思い探し
たのですが・・・

下記のサイトでやっと見つけました。ポキット折れる骨折のイメージとは大きく
違います。専門医で無いと判りづらいとおもいます。

http://www.jcoa.gr.jp/matu/sports/inj/spoinj1.html


《予防と対策》
     
 シンスプリントの対策にも書きましたが
  
   1 ランニングやジャンプの量を少なくし、ジャンプ着地時には深く 
       しゃがみこまないようにすること。
2 十分にウォーミングアップをし、運動前後や入浴後にはストレッチング
を行う。ストレッチングは、膝を伸ばして、更に軽く曲げて腓腹筋
ひらめ筋(ふくらはぎの筋肉)をストレッチする。
3 足関節を背屈(足の甲の方向へ)する筋肉の筋力強化を行う。更にチュー
ブやカーフェイス(踵上げ)、タオルギャザー等によって筋力強化を行う。
4土、芝生等柔らかい路面でのランニングに切り換え、カーブの繰り返しを
避けて逆回りも行う。
5 クッションのよいシューズを履き、磨耗して薄くなったシューズは取り替える。
6 回内足や扁平足等のある場合には、ヒールウェッジやヒールパッドを使用する。
7体重(体脂肪量)を管理する。
8 その場片足跳び(片足けんけん)でチェックして、痛みが無くなったら早歩き、
軽いジョギング、ランニングへと移るようにする。