まさかこんなに伸びるとは

「まさかこんなに伸びるとは」監督驚き 中学時代は無名の選手、一気にエースに 全国高校駅伝に初出場、熊本のルーテル学院・矢田みくに

   
西日本スポーツ
 初の都大路を駆け抜けろ! 男子第68回、女子第29回全国高校駅伝は24日、京都市西京極陸上競技場を発着点とする男子7区間(42・195キロ)女子5区間(21・0975キロ)で行われる。熊本から初出場する女子のルーテル学院は矢田みくに(3年)が1区を走る。昨年、5000メートルで高校歴代2位(当時)の15分25秒87を出した矢田が各チームのエースがそろう1区で快走を誓った。また男子では福岡の東海大福岡が初出場。ケニア人留学生のキムンゲ・サイモン(2年)を中心に初入賞を目指す。

【写真】初出場する全国高校駅伝で1区を任されるルーテル学院のエース矢田みくに

 今年も高校生にとって集大成のWinter(冬)がやってきた。バスケットボール、駅伝、ラグビー、サッカー、バレーボールと全国大会が相次いで開催される結実の季節。Win(勝利)を目指す注目選手やチームを紹介する。
■高校入り急成長
 一見、クールな表情の矢田だが、その目の奥に負けず嫌いの炎が燃えている。「前に人がいたら追い越したくなるので、きつくても前に出ます。都大路でも自分らしく先頭を走りたい」。目指してきた初舞台。全国のエースが集まる1区を任されても気後れすることはない。

 昨年12月の記録会で、5000メートルの高校歴代2位(当時)となる15分25秒87を出して一気に注目を集めた。今年は日本選手権に出場し、全国総体では3000メートルで8位。「いきなり記録が出たので、もっといい記録を出さなければというプレッシャーがあった」

 その全国総体後に体調を崩し、秋以降は調子が上がらなかった。そんな中、11月の全国高校駅伝熊本大会では1区(6キロ)を走り、昨年自らが作った18分41秒の区間記録と同タイムを出した。「今年は自信がなかったけど去年と同じ記録が出せたのは良かった。今になるとあと1秒速かったらと思います」と悔しさも残った。

 中学時代は全国的には無名。「まさかこんなに伸びるとは思わなかった」と吉田謙監督が驚くほど成長した。もともとフォームのバランスが良かったが、ストレッチポールを使った体幹レーニングでフォームが安定。入学時、3000メートルの自己ベストは9分51秒だったが、9分1秒まで縮め、熊本県の高校記録を塗り替えた。

 初の都大路でチームの目標は「初出場で初入賞」。矢田がスタートで流れをつくれるかがレースの鍵を握っている。「先頭集団で来てほしい」と吉田監督の期待は大きい。矢田は「全国総体で8位以上だった人に勝ちたい」と目標を掲げた。チームの歴史に残る初舞台でエースとして最高の走りを見せる。

◆矢田みくに(やだ・みくに)
 1999年10月29日生まれ。奈良県橿原市出身。0歳で熊本市へ転居。力合中1年から陸上を始め、3年時にジュニア五輪3000メートルに出場。高校では2年、3年時に全国総体3000メートルに出場し今年は8位。昨年U-20(20歳以下)世界陸上競技選手権に出場した。5000メートル、3000メートルの熊本県高校記録を持つ。159センチ、42キロ。