箱根への道

青学大・田村は住友電工神大・鈴木は富士通…4年生ランナーたちの進路

   
スポーツ報知


 

今年度の就職活動も終盤を迎えた。箱根駅伝を目指す関東の大学4年生ランナーの進路も固まりつつある。マラソン10代日本最高記録(2時間11分34秒)を持つ青学大の下田裕太はGMOアスリーツ加入を表明。チームメートの田村和希は住友電工を進路先に絞った。付属高時代から含めて7年間、苦楽を共にした山梨学院大の上田健太、市谷龍太郎らはそれぞれ別の道に進む意思を固めた。箱根路の先に世界を見据えるトップランナーの進路予定をいち早く特集する。

 箱根駅伝まで100日を切った。4年生ランナーは学生最後の大勝負を終えた後、社会人ランナーとして次のステージに向かう。一般の学生と同様、正式な内定日は10月1日以降となるが、有力選手の多くは実業団チームを持つ企業に入社することが内々定している。

 昨季の3冠王者・青学大は3選手が卒業後、競技を続行し、レベルアップを目指す。下田は7月に来春のGMOアスリーツ入りを表明。「東京五輪でメダルを取り、日本で一番、影響力のある選手になるという夢があり、その目標を叶えるために必要なものが環境的にも技術的にもあるGMOアスリーツを選びました」とコメントした。1万メートルで日本人4年生として最速タイム(28分18秒31)を持つ田村は渡辺康幸監督(44)率いる住友電工へ、1500メートルからマラソンまでこなす中村祐紀は強豪の日清食品グループへ進む予定だ。

 今年の箱根駅伝2区で歴代10位となる1時間7分17秒の好記録で区間賞を獲得した神奈川大の鈴木健吾は多くの実業団チームからオファーを受けた中、練習環境などを考慮し、進路先を富士通に絞った。

 山梨学院大の盟友たちは、それぞれの道で走り続ける。上田誠仁監督(57)の次男で主将の健太をはじめ、市谷、河村知樹、矢ノ倉弘は付属高時代から7年間、ともに過ごしてきたが、来春、別れの時を迎える。上田は日立物流、市谷はYKK、河村はトヨタ紡織、矢ノ倉はNDソフトへ加入が固まっている。4年前、付属高3年時に全国高校駅伝を制覇。大学でも最終学年で大きな勲章を手にしたいところだ。

 実業団チーム別に見ると、日立物流の大型補強が目立つ。山梨学院大の上田のほかに今季日本人学生1万メートル最高の28分19秒89を記録した栃木渡(順大)、小町昌矢(日体大)、前田将太(大東大)ら4人の1万メートル28分台ランナーが入社予定。また、中途入社としては今年3月末でコニカミノルタを退社した設楽啓太(25)も16日付で加わった。日立物流は今年の全日本実業団(ニューイヤー)で10位の中堅チームだが、今後、駅伝、さらにはマラソンで存在感を増していきそうだ。

 箱根駅伝は「世界で通用する選手を育成する」という理念を掲げ、1920年に創設された。ちょうど、その100年後に開催される東京五輪。今季の4年生は、そのビッグイベントを24~25歳という絶好の年齢で迎える。「箱根への道」を駆け抜けたトップランナーは「箱根からの道」でこそ真価が問われる。