【世界の中学生~フランス

フランスの教育の方針とは?


世界の中学生の生活に密着するシリーズ、パリに住む中学生、リルーさんの生活を紹介してきましたが、いかがだったでしょうか? 最後に、フランス家庭の教育方針や日本との違いをクローズアップしたいと思います。

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自分を追及し、好きなものを知ることが大切

 フランスでは、自分とは「何か」「どんな人間か」「自分は何が好きか」など自己の追求について小さい頃から教育されています。なぜなら、自分の好きなものを知って、それにずっとたずさわることが人生最大の喜びとみなされているからです。いつから、という正確なところはわからないのですが、おそらく戦後~1968年の5月革命(学生運動を含む大規模なデモ・女性解放運動)あたりから、この概念は根づいたようです。
 
馬が好きで乗馬を続けていて、馬に関わる仕事をしたいと思っているリルーさん。彼女がこのような将来へのビジョンも、まさにフランスの教育のもとで培われたといってよいでしょう。
 
 

意見を言うことが求められる

 また、自分の意見をきちんと言うこと(=自分の力で物事を考えて、その考えをまとめる力を持っていること)が重視されるため、発表をする機会が多くあり、また、社会人となって、意見を言わない人は、何も考えを持たない、自分で考える能力のない人や、個性のない人としてみなされてしまうことがあります。
 
フランスでは、たとえばおとなしい日本人がウンウンとうなずいて意見を述べない様子を見ると、個性がなく、また何を考えているかわからなくて、気味が悪いらしく、控えめな態度とは思わないようで誤解を招くことがあるそうです。
 
 

自分で物事を考える力を養うフランスの両親

 フランスの両親たちは、もちろん、全科目の成績がよいに越したことはないとも考えているようですが、それよりも、まず子どもたちがどういうことが好きかを考えるようです。そして、そのために「どの科目により力を入れて勉強すれば、子ども自身が目指す職業に進めるか」と子どもの将来を考え、さらに「そのためにどの科目が一番重要か」など、勉強をするときに、人生の土台づくりを重視しているところが、日本と違うところだといえるでしょう。
 
よい成績を維持することよりも、苦手だった科目で成績が上がったときに高く評価して、「どうして・どのようにして成績が上がったのか」を子どもと一緒に考え、分析して、他の教科の成績アップにも役立てようとしています。
 
フランスの教育は、将来子どもが独立するのに必要な術を、勉強を通して学ばせるのが目的で、頭さえよければいいということではありません。自分で物事を考える力、いわば、頭を使う力をよくさせることを重視しているようです。
 
なお、フランスでは、女性は結婚して家庭を持っても定年まで働き続けるのが一般的です。(出産後、2~3ヵ月で職場復帰)それだけに、男性も女性も、やりたい仕事に就くためにどうすべきか、考え、追求することを求められるのです。