国際オリンピック委員会(IOC)

露リオ出場、全面禁止せず…競技連盟ごとに判断

ロシアが国ぐるみのドーピングを指摘されていた問題で、国際オリンピック委員会(IOC)は24日、電話による臨時理事会を開き、ロシアチームのリオデジャネイロ五輪への参加を全面的に禁止する措置を取らないと決定した。

 陸上選手は原則として参加を認めない一方、その他の競技については各競技の国際競技連盟(IF)に出場可否の判断を委ねることを決めた。ロシアのリオ五輪参加に前向きな姿勢を示しているIFもあり、ロシアは全競技で五輪に参加できない最悪の事態は免れた。
 IOCは理事会後の声明で、各IFが十分と認める証拠を提出したロシア選手については、リオ五輪への参加を受け入れるとした。そのためにIFには、信頼できる国際的な検査の記録だけを参考にしながら、個々の選手を分析するよう求めた。

 また、過去にドーピングで処分を受けた選手は、リオ五輪に派遣することを認めないとした。これにより、ドイツのテレビ局の番組でロシア陸連の組織的ドーピングを告発し、今回の問題の発端となった女子中距離選手のユリア・ステパノワは出場できなくなった。

 この問題をめぐっては、世界反ドーピング機関(WADA)の独立委員会が昨年11月、ロシア陸連の組織的ドーピングを明らかにする報告書を公表。国際陸連はロシア陸連に資格停止処分を科し、ロシア選手を原則としてリオ五輪に出場させないと決めた。
 五輪出場を求めるロシア選手68人は、スポーツ仲裁裁判所(CAS)に提訴。CASは今月21日、ロシア選手の訴えを退け、国際陸連の決定を支持する裁定を出していた。

 WADA調査チームは今月18日、ロシアのスポーツ省が主導したドーピング不正と隠蔽工作が、2011年から15年にかけて行われていたとする報告書を公表。14年ソチ冬季五輪・パラリンピックでは、検査機関で尿検体のすり替えも行われたと指摘した。

 IOCは、WADAからリオ五輪の全競技でロシア選手の参加拒否を検討するよう勧告を受けていたが、選手の出場資格を決めるIFに出場可否の判断を委ねた。

 IOCとともにWADAから勧告を受けた国際パラリンピック委員会(IPC)も、9月7日に開幕するリオ・パラリンピックへのロシア選手の出場可否を検討しており、8月上旬に結論を出す予定だ。