マスターズ陸上

104歳から105歳へ 京都の男性挑戦

   

 マスターズ陸上競技の男子100メートル(100~104歳)で世界記録を持つ宮崎秀吉さん(104)=京都市右京区=が、今月23日に開かれる記録会で、男子100メートル(105~109歳)と男子砲丸投げ(同)の2種目で前人未到の世界記録に挑む。

宮崎さんは前日の22日に105歳を迎える。マスターズは5歳刻みで記録を競うが、105歳以上の記録は存在しない。宮崎さんは「何歳から始めても遅いということはない。今は毎日走れるということが本当に幸せ」と語る。

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 1910(明治43)年、静岡県熊切村(現・浜松市天竜区春野町)で生まれた。小学校教員をしていた20歳の時、結核を患い3年間、自宅で療養。太平洋戦争の召集直前に終戦を迎え、戦後は地元の農協職員として働き、スポーツとは無縁の生活だった。74歳の時、長女聖之(きよの)さん(74)が暮らす京都市に移住。囲碁や園芸などを楽しむ日々を送っていたが、90歳を過ぎると囲碁仲間が次々と他界。テレビでマスターズ陸上を知り、「一人でも打ち込める」と92歳で挑戦を決意した。

 95歳の時にマスターズの国内大会で優勝して以降、向かうところ敵なしで次々と金メダルを獲得。2010年10月の100歳の時、100メートルで29秒83の世界記録を樹立し、昨年1月には「最高齢スプリンター」としてギネス記録にも認定された。砲丸投げは数年前に始めた。

 90歳で発覚した前立腺がんの治療のため現在も3カ月に1度は通院する。陸上を始めた直後に硬膜下血腫で手術も経験し、97歳の時には自宅玄関前の階段から転落し左ふとももを骨折。医師から車椅子生活を宣告されたが、2カ月後の大会で復活した。「負けん気が強いだけ。自分にとって走ることは生きることだから」

 毎朝5時に起床し、朝食後は3キロの砲丸が入ったリュックサックを背負い近くの公園へ。入念な準備体操の後、練習に入る。元看護師の聖之さんが付き添い、脈拍や記録を計測。毎食後、自身で編み出した独特の体操も欠かさない。

 23日に西京極陸上競技場京都市右京区)で行われる京都マスターズ秋季記録会で記録を残せば、世界記録となる。「ここまで来ることができた思うと、自分でも本当に不思議だよ。本番では転ばないように気をつけなきゃね」。ちゃめっ気たっぷりに宮崎さんが笑った。