伊藤舞選手

女子マラソン伊藤、京都で成長 31歳で初の五輪切符

30日に中国・北京で行われた陸上の世界選手権女子マラソン伊藤舞選手(大塚製薬、京都橘高-京都産業大出)が7位入賞し、来年夏のリオデジャネイロ五輪代表に決まった。けがに苦しみながら京都で力を伸ばした31歳が初の五輪切符をつかみ、恩師たちが喜びの声を上げた。


 「よく粘った。まじめに努力してきた大器晩成の選手だけにうれしい」と、現地で伊藤選手の父らと応援した京産大陸上部の伊東輝雄監督(69)は声を弾ませた。33キロ付近でスパートしたアフリカ勢を懸命に追いかけた伊藤選手を「少し体が浮いていたが、粘りが出ていた」と分析。ゴール地点となる競技場前の走りもぶれがなく「入賞は間違いない」と確信したという。
 
京都橘高陸上部の安田文彦顧問(45)は、奈良市内での大会中に電話で吉報を知った。7月の全国高校総体女子400メートルリレーで2位に入った直後、伊藤選手から「母校が頑張っているのはうれしい。私も頑張ります」と無料通信アプリLINE(ライン)で祝福のメッセージを受けた。安田顧問は「地道に努力し、応援される子だった。そういう子が結果を出すのがうれしい」と喜んだ。

 京産大の厳しい練習についていけず「最初は泣いてばかりだった」と伊東監督。けがで苦しみながらプールで10キロを泳ぐなどして力を蓄え、4年生の日本学生対校選手権1万メートルで日本一に輝いた。長い指導歴を誇る伊東監督にとって五輪に挑む初めての教え子となり、「リオはもっと暑くなる。持ち味の粘り強さが生きる」と期待した。