バトン取れない

サニブラウンに思わぬ壁…バトン取れない、超高校級が仇に


北京世界陸上(22日開幕)に参戦する男子短距離代表が11日、山梨・富士吉田市内で合宿を公開した。史上最年少代表のサニブラウン・ハキーム(16)=東京・城西高2年=は、400メートルリレー(29日予選)のバトン練習で、前の走者と受け取るタイミングを合わせられない課題に直面した。第4走者(アンカー)での出場とリレー種目初の世陸表彰台へ、急ピッチで感覚を養う。

 ワンダーボーイが思わぬ壁に阻まれた。サニブラウンは10日に合宿へ合流し、この日からリレー練習を本格スタート。第4走者としてバトンを受け取る動作練習に取り組んだが、第3走者と呼吸が合わず、スムーズに走り出せない。「(渡し手と)ぴったりタイミングを合わせて出るのが難しい」と首をかしげた。

 “超高校級”が仇(あだ)となった。代表コーチの苅部俊二・日本陸連短距離部長(46)は「高校では走力差がありすぎて、走ってくる相手に合わせて、待ってバトンを受けている。代表選手と走る時は、それでは走り出しが遅い。互いの距離が詰まり、タイムロスの原因になる」と分析した。日本高校歴代1位の200メートル20秒34を記録し、他の選手を圧倒するスピードが生んだ課題。「不安もあるが、バトンは開幕までに慣れないといけない」と受け止めた。

 バトンパスに不慣れなサニブラウンは、受けるだけで済む第4走者限定での起用が濃厚。アンカー候補には、他にも世界リレー(5月)銅メダルメンバーの谷口と藤光がいる。「足が速ければメンバーになれるわけではない」と苅部コーチ。日本はバトンパスの精度で、タイムを稼ぐスタイル。お家芸を習得できなければ、怪物高校生でもメンバーに入れない。

 400メートルリレーの予選と決勝は29日。世界陸上リレー種目でメダル獲得なら男女通じて史上初の快挙だ。「(ボルトら)スターがいるから4走を狙う。もちろんメダルも取る」。

残り約2週間で代表仕様のタイミングをつかみ、アンカー奪取に挑む