男女共学化から4年目の夏

 強豪・法政二の女子リレーが全国でつないだ“絆とバトン”

   
THE ANSWER

子がトラック種目初出場、1600mリレー準決勝敗退も…4年目の夏に刻んだ第一歩

 全国高校総体(インターハイ)の陸上最終日は8日、女子1600メートルリレー準決勝で初出場の法政二(神奈川)は3分53秒83で3組5位に。決勝進出を逃したが、共学化から4年目、初めて女子がトラック種目で掴んだインターハイ切符。唯一の3年生・佐藤葵は後輩を牽引し、夏の全国の大舞台を駆けた。

 伝統の「法政二高」の文字を胸に、4人の女子スプリンターが駆けた。唯一の3年生・佐藤葵から1年生の新田望、2年生の佐藤瑠歩、武田小都にバトンをつなぎ、全力疾走。しかし、台風9号の接近で強風が吹き荒れるレースで予選からタイムを4秒落として同組5位に終わり、バトンミスで予選失格となった400メートルに続いて決勝進出を逃した。

 3年生としてチームを牽引した佐藤葵は「400メートルもマイルも1、2年生主体のチーム。来年、日本一という目標を達成するためにも、どっちの種目も決勝で戦いたかったのに、全然できなかった」と涙。「みんな勝つためにサポートも含め、一生懸命やってくれていたので、すごく悔しいです」と瞳を潤ませた裏に、挑戦を続けた2年半の苦闘が滲んだ。

 法政二は16年に男子校から共学化。初めて女子部員が入った。翌年に入学した佐藤葵は2期生に当たる。男子はリレー種目でインターハイを制した実績を誇り、もともと強豪校として知られていたが、女子は未知数。それでも、中学時代の1つ上の先輩が進学したことに影響され「男子も強かったし、勝つならここしかない」と門を叩いた。
競技に区切りをつける佐藤葵「私はこのチームで良かったと思っている」
 道のりは平坦ではなかった。「最初は県大会の決勝すら行くことが難しかった」と振り返る。しかし、出来たばかりの共学陸上部は「男女、学年関係なく、仲が良くて助け合っている」という絆の深さで、少しずつ成長していった。県、南関東と徐々にステップアップ。「1つ進むだけで大変だった」という苦労の末にこの夏、ついにインターハイ切符を獲得した。

「決勝進出」という目標は叶わなかったが、レールのなかった道を全力で駆け抜けた2年半に後悔はない。「私はこのチームで良かったと思っている」と誇らしげに言った。競技はこの夏限りで区切りをつけるつもりという佐藤葵は「すごく悔しいけど、来年、後輩たちが勝つために良い負けになってくれたと思う」と肩を落とした1、2年生にエールを送った。

 4年前までは女子がいなかった強豪陸上部で、しっかりと育まれてきた女子の絆。この経験がバトンとなり、悔しさの記憶とともに、きっとつながれていく。日本一というゴールを切る、その日まで。

◇インターハイの陸上は4日から8日まで熱戦が繰り広げられた。全国高体連公式インターハイ応援サイト「インハイTV」を展開。インターハイ全30競技の熱戦を無料で配信中。また、映像は試合終了後でもさかのぼって視聴でき、熱戦を振り返ることができる。